屋上やベランダの雨漏りの原因とは？対処法について解説
ビルやマンションの屋上、ベランダなどから雨漏りが発生することがあります。
さまざまなことが原因となって雨漏りが発生するのですが、それぞれの原因がつかめていなければ正しい対処ができないこともあります。
そこでここでは屋上やベランダの雨漏りの原因や対処方法について紹介していきたいと思います。
ビルやマンションの屋上の防水層が劣化している場合が多い
まずビルやマンションの屋上からの雨漏りについてですが、屋上からの雨漏りについては防水層が劣化しているということが原因としては多くなっています。
そこでここではまず屋上の防水層について紹介していきます。
屋上の防水層が劣化すると防水工事が必要となる
一般的な戸建て住宅は三角屋根のように屋根に傾斜がついています。
そのため雨が降っても水は下に向かって落下していくのですが、ビルやマンションの屋上は傾斜のないフラット屋根となっています。
よく見れば排水のためにわずかな傾斜はついているのですが、普通に歩いていてはわからないほどの傾斜のため雨が降っても自然に排水しにくいという特徴があります。
この「陸屋根」と呼ばれる平らな屋根は屋上という位置のために雨風にさらされやすいのに雨水が流れていきにくい形状のために防水層の防水機能が低下していくと「水分がコンクリートに浸透しやすい」という環境となってしまうのです。
雨が降るたびに屋上に雨水が溜まってしまうとどんどん建物の劣化が進んでいってしまいます。
屋上の防水機能が低下している状態で大雨が降ったりして雨水が浸透していくと室内部分で雨漏りが起きてしまうということがあるだけでなく、建物の「構造部」にまで浸透してしまうことがあります。
木造の建築物の場合は雨水が浸透していくことで構造部と呼ばれる「柱」「梁」などが腐ってしまうのですが、この現象は鉄筋コンクリート造のビルやマンションでも同様に危険です。
コンクリートの構造部に雨水が浸透すると「ひび割れ」が発生してしまう危険性があります。
この原因は「水分が蒸発する際の乾燥収縮」だと言われています。
コンクリートに水分が浸透するとわずかにコンクリートが膨張することとなります。
その膨張したコンクリートが乾燥していく際に収縮していくのです。
この膨張と収縮を繰り返すことによってひび割れが起きてしまうことがあるのです。
このように鉄筋コンクリート造のビルやマンションでも適切に防水工事が実施されていなければ危険な状態へとつながってしまうのです。
構造部の耐久性が低下すると耐震性も低下することになりますので、地震があった際などには崩落の危険性も高まってしまい、安全面でも問題が起こることとなります。
こういった理由によってビルやマンションでも定期的に防水工事が必要となるのです。
トップコートや防水層になぜトラブルが起きるのか
トップコートとは防水層の上側に塗っていくものです。
防水層が雨水や紫外線によって劣化していくことを防ぐための保護剤だと考えると良いでしょう。
「ウレタン防水トップコート」と「フッ素コート」という代表的な2つのトップコートがあります。
このトップコートをしっかりと塗ることによって防水層の耐久性を高めることができるだけでなく、色合いも選ぶことができるので建物のイメージを作り上げることにもつながります。
このトップコートは雨水や紫外線によっても劣化していくのですが、この上を直接人が歩くということもあるので、摩擦などによっても劣化していくこととなります。
こうした劣化によってトップコートが破損したり薄くなっていくと直接防水層にダメージが入ることとなります。
防水層とは屋上部分で実質的に防水効果を果たしている部分です。
この防水層は防水効果がある塗装、防水シートなどによって防水加工がなされているのですが、防水層が「ひび割れ」「浮き」「膨れ」といったトラブルがでてくると防水機能が低下していくこととなります。
防水層が大きなダメージを受けているということはその上のトップコートも剝がれてしまっている可能性が高くなりますので、できるだけ早めに防水工事を行うべき状況だと言えます。
ベランダやバルコニーのどういった部分でなぜ雨漏りが発生するのか
ベランダやバルコニーから雨漏りが発生する場合、ベランダの中でも色々な場所がその原因となる可能性があります。
ここではそれらの可能性がある場所についてそれぞれ紹介をしていきます。
ベランダやバルコニーの床面部分
ベランダ、バルコニーでももっとも面積が広く、雨漏りの原因となることが多いのが床面部分です。
ベランダの床面部分は屋上などと同様に「防水層」と呼ばれる部位となっており、多くの水を受ける可能性が高いために防水がもっとも必要となっています。
洗濯物などの水分が床面に落ちるということもありますが、雨風の影響も強く受けます。
また、晴れている日は太陽光もまともに受けることも多く、紫外線によって劣化することがあるだけでなく、人がその上を歩くということでの摩擦も劣化につながります。
これらの影響によって床面が劣化してくると表面を保護している部分が薄くなる、剥がれる、割れるという現象が起きてきます。
これも屋上と同様で防水層の表面を覆っている「トップコート」と呼ばれる部分だけが劣化しているのであれば、新しくトップコートを塗り直すことによって防水効果が復活することとなります。
たいてい10年前後で表面にひび割れなどが起きてくるので、そのあたりを目安にメンテナンスをすれば良いでしょう。
ただ、ひび割れが大きなものとなってくると、床面自体が劣化しているということが多くなります。
この場合は防水工事を行って防水層を新しく作り直す必要があります。
「ウレタン防水」「シート防水」「 FRP 防水」といった種類があるので、建物に合った防水工事を選んでいくと良いでしょう。
腰壁部分
ベランダは外に面しているため、人がベランダの外へ落下する危険性がある部位となっています。
また外部からベランダを通して部屋の中がそのまま見えてしまうという危険性もあります。
それらを防ぐために「転落防止」「プライバシー保護」として腰壁が設置されています。
その名前の通り、人の腰から胸ほどの高さある壁部分となっています。
腰壁があることで落下を防ぐこともできますし、外から建物内が見えにくくなります。
晴れている日などは腰壁に布団などを干すということもあります。
素材などから考えると腰壁は外壁に近いものとなっているため、外壁部分と同じようなペースで劣化していくこととなります。
腰壁の劣化についてはどういった外壁素材を使っているのかにもよりますが、外壁の塗膜が劣化していく、ひび割れが起きている、目地のコーキングが劣化していくといった症状が出てくることとなります。
特に外壁素材がモルタル外壁の場合はひび割れが、サイディングボードであれば目地のコーキング劣化が起こりやすいため、注意が必要です。
この腰壁部分が見た目で黒ずんでいる、ボロボロと崩れるほど腐食しているという場合には腰壁の内部まで浸水しているということになりますので、大規模な補修工事を行う必要があります。
また、塗装が薄くなっているという状態だけであれば塗装をすることで機能が復帰します。
笠木部分
「笠木」と呼ばれるのは腰壁の上にある手すりなどが設置されている部分です。
腰壁を衝撃から保護する、耐久性を向上させるために設置されるものとなっています。
多くは腰壁の上の手すりと考えられることが多くなっています。
金属製のものとなる場合が多く、最近では耐久性の高いガルバリウム鋼板製のものが広く普及しています。
色々な種類があり、板金の笠木、手すりが上から固定されているタイプの笠木、コンクリート部分にそのまま手すりが付けられているタイプなどがあります。
笠木部分も雨風にさらされやすい部位となっていますので、外れて抜けてしまう、隙間が出てくる、浮いてくるといった症状が出てきます。
こうなるとこの隙間部分から雨水が浸入して腰壁を腐食させていくということがあります。
排水口の周辺部分
ベランダ部分に降った水、入り込んだ雨水はベランダの端にある排水溝を通って排水口から外部に排水されていくことになるのですが、この排水口付近が劣化していくと雨漏りの原因となります。
排水ドレンが劣化している、排水口と防水層の取り合い部分が劣化しているといった症状が出ている場合は排水ドレンを交換する工事を行う必要があります。
また、この排水口付近は落ち葉やゴミなどが溜まりやすく、これらが詰まることで適切に水が排出されないということもあります。
こうした落ち葉やゴミについては簡単に掃除することが可能ですので、定期的に掃除をすることで水の流れを確保することができます。
ほうきなどを使って定期的に掃除をするようにしましょう。
掃き出し窓部分
掃き出し窓とは建物の部屋部分とベランダ部分の間にある窓の下部分が床まであるような大きい窓のことを指しています。
普通の窓ではなく、人が通れるほどの大きな入り口のようになっている部分です。
たいてはそこを通って部屋とベランダとの行き来ができるようになっています。
洗濯をしにベランダに行く時などはここを通っていくことになるでしょう。
昔はこの部分からほうきを使って掃除をして庭に向かってゴミを掃き出していたことからこの「掃き出し窓」という名前がついたと言われています。
窓自体が外部に接している位置にある窓のため、雨水が内部に向かって吹き込みやすいという弱点があります。
窓枠の周囲にある部分のコーキングの劣化、隙間などから水が入り込むと雨漏りの原因となってしまうのです。
また、窓枠の下部分の防水層にトラブルが起きやすくなるということもあるので注意しましょう。
まとめ
ビルやマンションの屋上やベランダといった場所は雨水や紫外線の影響を受けやすいために防水層やトップコートが劣化しやすくなっています。
定期的に防水工事、補修メンテナンスを行うことによって正常な防水効果を維持することができるでしょう。
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